12/26(日)課題本読書会を開催しました。
課題本:『脂肪の塊/ロンドリ姉妹 モーパッサン傑作選』 ギ・ド・モーパッサン著
開催日:2021年12月26日(日) 9:30-11:30
場所:池袋駅周辺のカフェ
参加人数:6名
小学生のころ読んだ、海外の怪奇小説傑作選の中に、モーパッサンの小説があり、雰囲気のあるゴシックホラーで、かなり気に入ったのを覚えております。そのせいか、学生になって『脂肪の塊』『女の一生』に出会うまでモーパッサンはホラー作家だと思っておりました。
今回の課題本は10篇の短編・中編で構成されており、どれも面白いので、人気のあった上位4篇を中心に感想をシェアしました。
人気順:
①『脂肪の塊』
②『ロンドリ姉妹』
③『散歩』
④『ローズ』
やはり表題作の『脂肪の塊』がダントツ人気でした。人のあらゆる醜い部分が鋭く描かれており、あらためて人間を描くのが上手い作家さんだなと思いました。
『ロンドリ姉妹』はなかなかコミカルな作品です。ラストが男性と女性で異なる印象を持つようです。
『散歩』は個人的に好きな作品です。ラストに行きつくまでの主人公の心情についてあれこれ考察し、盛り上がりました。
『ローズ』は二人の女性の会話劇で、ラストの片方の女性の謎めいた微笑の意味について、各々読み方が異なりました。屈辱の真意とは、、、
みなさんのおススメの箇所:
『脂肪の塊』より、フォランヴィの女房のセリフ P73~74
そうですとも奥さま。あの連中ときたら、じゃがいもと豚肉しか食べないんですから。(中略)
兵隊なんてものは、奥さま、なんの役にも立たないものですよ。国に養ってもらっているくせに、人を殺すことしか教わらないんだから。(中略)いちばんたくさん殺した者に勲章があたえられるじゃありませんか。まったく、あたしにゃわけがわかりませんね。」
『脂肪の塊』より、P78~79
最初に目についたプロイセン兵は、じゃがいもの皮をむいていた。(中略)
お互い貧乏人同士なんだから、助け合わなくちゃ・・・戦争をやらかすのは、いつだってお偉方なんだよ
『脂肪の塊』より、食べ物の描写 P56 P114
女は手羽肉を一つつまむと、ノルマンディー地方でレジャンスと呼ばれている小さなパンといっしょにおいしそうに食べはじめた。
茶褐色をした兎の肉に脂身の白い筋が何本も入った、見るからにうまそうな食べ物で、細かく刻んだほかの肉もまじっていた。
『雨傘』より P174
夫人はいったん足を止めたものの、そのまま通りすぎてしまった。それから、ひき返してはまた通りすぎ、ふたたびひき返してきた。
『ロンドリ姉妹』より、列車の情景描写 P218-219
フレジュスを過ぎ、サン=ラファエルを過ぎた。列車はマルセイユからジェノヴァにかけての、さながら楽園のような、すはらしい海岸沿いを走っている。(中略)淡くかぐわしい潮のにおいや、乾燥した海藻のにおいにまじって、ときおり強烈で悩ましげな花の香りが漂ってくる。
以上です。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
よいお年をお迎えください。
来年もよろしくお願い致します。
0コメント