11/27(日)に開催した、課題本読書会の終了レポートです。
課題本:「錦繍」 宮本 輝 著
開催日:2022年11月27日(日)
場所:池袋周辺のカフェ
参加人数:5名
『錦繍』を課題本にした理由ですが、秋っぽい小説なにかあるかな?と本棚を探した結果、裏の解説文の「紅葉に染まる蔵王で・・・」という文字が飛び込んできたからです。これだ!と即決でした。
私自身、読むのは3度目になります。
1度目は読書会で紹介されたから、2度目は引っ越しの際に取捨選択判定をするため。
(捨てなくてよかった)で、今回です。
初読の時はどの登場人物にもあまり共感できませんでしたが、3度目にしてようやく、3人の女性(亜紀、由加子、令子)の心情がなんとなく分かるような、なぜこんなに有馬に執着しているのか、少し理解できたような気がします。少し大人になったのでしょうか。
<参加者様の感想(抜粋)>
・しょせんブルジョアの世界での出来事で、金持ち女とダメ男が鼻につく
・登場人物の誰にも主体性がない、自分の頭で考えて行動していない
・有馬をカッコよく描きすぎている
・文章は美しく、読みやすい
・有馬は身の丈に合った評価をされていない、若くして次期社長に祭り上げられてたことが不幸のはじまり
・由加子(陰)と令子(陽)は対比させているのか
・令子の愛は、落語の「芝浜」の妻のようだ
・令子は有馬を使えるから1年間も養っていたのか?それもと愛情故か?
<気に入った一説>
■「お前なんか嫌いだ」 P188
■私は信仰を持っておりませんから、何に祈ったらいいのかわかりません。でも祈ります。そう、この宇宙に祈ります。お商売の成功と、あなたの幸せな未来を、この果てしない永遠の宇宙に祈ります。P234
■PR誌の名前は「ビューティー・クラブ」と決めました。 P190
■前略 蔵王のダリア園から、ドッコ沼へ登るゴンドラ・リフトの中で、まさかあなたと再会するなんて、本当に想像すらできないことでした。私は驚きのあまり、ドッコ沼の降り口に辿り着くまでの二十分間、言葉を忘れてしまったような状態になったくらいでございます。
さいごに:
今回は昭和57年刊行の小説を取り上げました。いまから40年前ということで、PCもメールもスマホも無く、どうして古臭さを感じます。コンプライアンスやジェンダー問題など、取り巻く環境もだいぶ異なるので、日本の小説を課題本にするときは、古典にするか、思い切って時代小説にするか、最新作にするか、悩ましいですね。
参加者の皆様、ありがとうございました。
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