3/21 第116回くつろぎ読書会 終了レポート(課題本型)

3/21(火祝)に開催した、課題本型読書会の終了レポートです。
 
課題本:『ミッテランの帽子』 アントワーヌ・ローラン 著 / 吉田 洋之 訳
開催日:2023年3月21日(火祝)
時間:9:30~11:30
開催場所:池袋駅周辺のカフェ
人数:5名
 
先月の読書会で『赤いモレスキンの女』を課題本として取り上げたところ、大変面白かったので、同じ著者の作品を課題本にしてみました。
 
≪皆様の感想(抜粋)≫
全体:
・あるきっかけを境に、人生が少し上向きのなる様子が読んでて心地いい
・まるでスイッチが入ったように人生が変わる感じが良い
・まさにそれぞれが人生の転機を迎えた
・ファンタジーかと思いきや、意外と現実とリンクしていて、実際にありそう
・1980年代、少し前のフランスで時代を感じる。TV番組など出てくるアイテムが古い
・大人の幸福な物語
・登場人物が絡み始めるところが面白い
・この物語の惹かれるのは、いまの社会の閉塞感が原因では?
 
ダニエル・メルシエ:
・帽子への執着がすごいが、これは良くない執着ではないか
・帽子というよりも、ミッテランが隣にいた体験が良かったのでは
・「独身の一夜」に共感
・ミッテランの夕食会の四人目になれたが、残りの3人は冒頭のメンバーか?
 
ファニー・マルカン:
・不倫から抜けられて良かった、やっと目が覚めた感じ
・なんとなく不倫体質な女性
 
エドワール:
・日常は出たくないけど、でも変えたい
・不倫する男はマメ
・奥さんへのアリバイ作りが大変そう
・魅力的な女性を前にして、即座に指輪を外す瞬発力がすごい
 
ピエール・アスラン:
・帽子を拾ったことが日常を変えるきっかけになった
・それほどにこの帽子は高級感がある(公園にはそもそも落ちていない)
・帽子を被ったことで、この帽子に似合う人物なりたいと、徐々に変わっていった
・アスランの変化がよい
・手紙が芸術家ぽくて良い
 
ベルナール・ラヴァリエール:
・階級や支持政党、思想で読む雑誌が異なるのか
・知らない間に帽子がすり替わっていたため、何がきっかけで変わっていったのかわからない
・そもそもミッテランの帽子と同様の高級帽子を持っていた
・同じ階級仲間のパーティーとジャックのパーティーの対比が面白い
・バスキアの絵はフランスでも影響があるとは知らなかった
・この後、奥さんとはどうなったのか
 
フランソワ・ミッテラン:
・帽子を探してほしくなかった
・帽子を追っていたことに驚き(しかも税金?を使って)
 
気に入った箇所:
P34
帽子だ。ダニエルの生活を激変させた一連の出来事の中心にはこの帽子があった。

P16
私は先週ヘルムート・コールに言ったんだが・・・・
 
P107
女性が変わったので、香水も変わったといえるでしょう・・・・
 
P112
人生とはこんなものです。モノは過ぎ去り、人と香りは残ります。
 
P77
「聞いていいですか」ピエールは言った。「なんなりと」「この火の中にコートを入れたいんです」「なんですって?」「コートは燃やせますかね」「どうして燃やしたいの」「必要だからです」

P75
ピエールは予期せぬ褒め言葉から、自分が新たに他人の視線の中で存在するような気がした。ピエール・アスランはもはや誰からも声をかけられない透明人間ではなかった。
 
以上です。
 
本の後ろに「その帽子を手にした日から、冴えない人生は美しく輝きはじめる」とあります。

こんな不思議なパワーのある帽子、私も拾いたいです。まさの大人のおどぎ話でした。
 
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

くつろぎ読書

2015年3月発足。月1~2回程度、都内各所で読書会を開催しております。場所は、貸し会議室・喫茶店・絵本カフェ・BOOKカフェと様々です。 定期的に、本屋さんめぐり、街歩きと読書会を合わせた「おさんぽ読書会」をやってます。2019年から「哲学対話」を始めました。ご質問はこちらへお願いします【kuturogidokusyo@yahoo.co.jp】

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