10/26 第151回くつろぎ読書会 終了レポート

10/26(日)に開催した、課題本読書会の終了レポートです。


課題本:「テヘランでロリータを読む」

アーザル・ナフィーシー (著) 市川恵里 (翻訳)

開催日:2025年10月26日(日)

時間:10:15~12:30

開催場所:池袋のカフェ

人数:5名


「テヘランでロリータを読む」は、読書会がテーマの小説ということで紹介していただきました。長編の海外小説で、テーマが重そうだったので読むのを躊躇していたのですが、課題本にすればちゃんと読めるだろうと思い、今回課題本にしました。


≪全体の感想≫(抜粋):

・読み始めて数ページで、自分の世界の狭さを感じた。世界に境界線は無いはずなのに、自分は世界で起きていることを何も知らないんだなと思った。

・読むのに時間がかかった。(理由;歴史的背景、名前)

・歴史的背景がわからなかったので、イスラム革命やイランイラク戦争について調べながら読んだのでより時間がかかった。

・本当にあった出来事なのか?と思った。

・世界にニュースについて流し見していたのだとあらためて感じた。

・この小説に出てくる登場人物はこの国のエリート層であり知識階級。お金もあり、大学にも通えて、英語の読み書きができ、行こうと思えば海外にも行ける。庶民に生活についてもっと知りたい。

・第1部を読んで「ロリータ」の意味が分かった。

・古典文学をいままであまり読まなかったので、これからはもっと読もうと思った。

・アメリカにいた頃に、イランから逃れてきたイラン人がたくさんいた。みんな綺麗でオシャレで普通に彼氏がいた。今更だが背景を知り親しみを感じる。

・イスラム教徒の中にも色々な人がいて、裏事情や個々人の葛藤を知った。

・あまり調べないで読んだ。小説ではないけれど小説ぽいので、あまり他の情報を入れずにストーリーとして読んだ。長いけれど読みやすかった。

・インドにいた時期があり、その時に厳しい階級制度や貧富の差を目の当たりにしたのでイランについて想像しやすかった。

・なぜ小説を読むにかについて考えさせられた。

・作中に出てくる文学作品が分からない。もっと小説を読もうかなと思った。

・文学作品をなぜ読むのか?について『夜と霧』の肉体は制限されても最後に残るのは想像力というくだりを思い出した。

・ナフィーシー先生と夫のビージャンとの国を出るか否かの合いで、夫が最初は渋っていたため、やっぱり当事者じゃないと苦しみはわからないんだなと思った。

・夫ビージャンや私の魔術師は、自分にはどうにもならない事態のため、現実を受け入れて静観することを選んでいるのではないか。この国の男性は、静観して世捨て人になるか革命をするかどちらかしかないのか。

・自分の生まれ育った国や土地を離れられない人もいる。

・一般の人は教育をどこまで受けているのか分からない。国や革命のことをどこまで理解できているのか?

・同じ国の中にも宗教のとらえ方が異なる。信じている人の中にも葛藤がある。政治的利用する人、いいように解釈する人と様々。

・共感には限界がある。ただし、その先を想像し理解することはできる。(共感の先にあるもの)


ナフィーシー先生の読書会のメンバーである、マーナ―、マフシード、アージーン、ヤーシー、ミートラー、サーナーズ、ナスリーンの7名の在籍に位置についての話になりました。私はP34から読書会の座る位置を推測しメモに残していましたが、他の参加者も同様に推測メモを持ってきており、見せ合ったところほぼ同じでした。※私のメモ書き添付


P34彼女たちは最後までこの席順を守った。この配置は彼女たちの感情の境界や個人的関係を象徴するものになった。


≪気に入った箇所≫

P11

「どんなことがあっても、フィクションを現実の複製と見なすようなまねをして、フィクションを貶めてはならない。私たちがフィクションの中に求めるのは、現実ではなくむしろ真実があらわになる瞬間である」

P83

あらゆるおとぎ話は目の前の限界を突破する可能性をあたえてくれる。そのため、ある意味では、現実には否定されている自由をあたえてくれるといってもいい。どれほど昔酷な現実を描いたものであろうと、すべての優れた小説の中には、人生のはかなさに対する生の肯定が、本質的な抵抗がある。

P132

結局、シンシナトゥスは断頭台に連れてゆかれ、処刑のために台に頭をのせる際に、「独りでやる」と呪文のように言いつづける。みずからの独自性を絶えず思い起こさせるこの言葉が、そしてものを書く試み、看守から押しつけられた言葉とはちがう言葉をはっきりと語り、つくりだそうとする試みが、最後の瞬間に彼を救う。

P155

最良の小説はつねに、読者があたりまえと思っているものに疑いの目を向けさせます。とうてい変えられないように見える伝統や将来の見通しに疑問をつきつけます。私はみなさんに、作品を読むなかでそれがどのように自分を揺るがし、不安な気持ちにさせ、不思議の国のアリスのように、ちがった目でまわりを見まわし、世界について考えさせたかを、よく考えてもらいたいのです。

P440

こうすると幸せな気分になるの、と言うかぼそい声に、ちっとも幸せとうではなかった。これだけ真っ赤だと、いろんなことを考えなくてすむから。


以上です。


今後の読書会

11/30(日)紹介型読書会

12/21(日)課題本『ジェーン・エア』


ご参加の皆様、ありがとうございました。


くつろぎ読書

2015年3月発足。月1~2回程度、都内各所で読書会を開催しております。場所は、貸し会議室・喫茶店・絵本カフェ・BOOKカフェと様々です。 定期的に、本屋さんめぐり、街歩きと読書会を合わせた「おさんぽ読書会」をやってます。2019年から「哲学対話」を始めました。ご質問はこちらへお願いします【kuturogidokusyo@yahoo.co.jp】

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