2/23 第114回くつろぎ読書会 終了レポート(課題本型)

2/23(木祝)に開催した、
課題本型読書会の終了レポートです。
 
課題本:『赤いモレスキンの女』 
アントワーヌ・ローラン 著 
吉田 洋之 訳
開催日:2023年2月23日(木祝)
時間:13:45~16:00
開催場所:3331 Arts Chiyoda 313教室
人数:9名
 
ここ数か月の間に何度か見聞きした本、『赤いモレスキンの女』。
読んでみたら、ストーリーが面白いのと、大変おしゃれなラブストーリーだったで今回課題本にしました。
 
≪皆様の感想(抜粋)≫
全体:
・紫のバッグや赤いモレスキンの手帳、黒いガラスの香水瓶、グザヴィエのモンブランのボールペン、絹の青い花のヘアピン、シャネルのココ・シャインの口紅、白いワンピースに白いバレエシューズetc.とにかく小道具がオシャレ。ひとつひとつ頭の中で思い描いて、小説の世界観の浸るのが楽しい。
・映画っぽい。映画のシナリオのようだ。全体的にテンポが良い。映画化されたら是非観てみたい。
・恋愛小説というより変態小説ではないか。
・香水の描写が多いのと、香で気が付く場面が2か所でてくるがフランスだからなのか?
・変態的な小説やサイコパス小説、例えば「羊たちの沈黙」の上の「月9」をコーティングさせて上手く綺麗の化粧させている。
・この作家は女性がとても好きなのだろう。ロールやドミニクのような中年女性~クロエのような子供と大人の境目のような女性を上手く描いている。
・ポトフが食べたくなる
・大衆向けではなく知性を感じる小説
 
ローランについて:
・主人公の名前(ローラン)に作家自身の名前(ローラン)をつけるところが気持ち悪い
 自身の願望か?主人公に自身を投影しているのか?
・基本受け身な人物だが、ストーカーする時だけ積極的になるのが気持ち悪い。
・個人経営の書店主という設定とイケメンであるというところで、変態的要素を薄めてる。
・手紙が良い。さすが書店主。かっこいい。
 
ローランの行動について:
■バックを拾うか否か
この時点では拾う派が多数
■手帳を読む/バッグの中身を取り出して見る
この辺から、「あり得ない」「気持ち悪い」という意見が多数
アメを食べるくだりは、ほぼ全員が「信じられない」との意見
■モディアノに会いに行く
大多数がストーカー認定
■クリーニング屋を探しまわり、ワンピースを自腹で引き取る
大多数がストーカー認定
■家に行く
大多数がストーカー認定
■彼氏に勘違いされたことを否定せず、3日間留守番する
大多数が犯罪者と認定し、警察へ突き出すレベルとの意見あり
ただ、猫の世話があった(ちゃんと世話をした)ため情状酌量の余地あり
 
ロールについて:
・金箔職人という職業が良い。美術系の職人でオシャレ。しか職人だから程よく世間知らず。
・ロールの手帳の私は好き・嫌いは中二病っぽい、との意見があるも「好印象」という意見もあり。
すべてに「私は」とつけるのは訳に忠実なのかもしれないが、日本語でみると幼い感じがする。
・接触がなく、物や手紙でお互いを判断している部分が多い。お互い見たいものだけ見ているのでは?
・なぜロールはこんなにも荷物(人生の思い出の品々)を持ち歩いているのか?重くないのか?
・紫のハンドバックはどんなバッグなのか?収納スペースがすごい。
・ケガで弱っていため、正常な判断ができず、犯罪まがいの行為を運命を感じてしまった。
・元気になってから、ローランをストーカーしているかた、結局似た者同士なのではないか。
 
ドミニクについて:
・最初からローランがバックのことを話していれば、別れなかったのでは。
・おそらくローランはドミニクと別れたかったのだろう(ただ自分から言い出せなかった)。
・とにかく気が強い。
・結構いい歳なばず。ヘアピン1本であんなに騒ぐのか?
・職業的に完璧主義で、彼氏の裏切りに我慢ができなかったのでは。
 
クロエについて:
・お父さんの変態的行為をなぜ黙認したのか?
・お父さんの探偵行為に好奇心から参加したのだろうか。
・この年頃の年齢にみられる、大人と子供のアンバランスさがよく出ている。
・ロールにローランより先に接触させることで、ワンクッション置くいている。娘の存在が、ローランの信用度をあげており、かつロールの信用を勝ち得ているため、主人公の2人をくっつけるのに重要な役割を果たしてる。
 
ウィリアムについて:
・おっちょこちょいだがいい人、憎めない
 
パスカルについて:
・とにかく陽キャ、女性をカテゴリ分けしてプライベートな情報を格納している。
・「自分のための売春宿の主人」という表現が面白い。
・ローランは陰キャなだけで、やっていることはパスカルと変わりないのでは?
 
ローランとロールはこれからどれくらい続くのか?:
・もって3年(理由:ローランは誠実ではないから、ロールは運命を思い込んでいるがそれが冷めたら終わる)
・ドミニクよりは長いのでは
・お互い良い方へ入り込めば一生もの
 
気に入った箇所:
P91
私はどこにいるのかわからない時が怖い。どこにいるのか、今が<いつ>なのかわからない。私はウィリアムが話しかけているのに、返事ができないのが怖い。
 
P60
カルジアのハンドバック
 
P140
「人生の岐路には必ず謎のーしかもいつも同じ姿をしたー人物が見張りに立っているのです。」私がその一人になったようです。
 
P125
その時、彼はシャワーヘッドに語りかけながら夜を過ごした。死や向こう側の生、人の住む世界の耐用性、神の存在など普遍的テーマについて、稀にみる激烈な哲学答弁が行われた。シャワーヘッドはこれらの主題についてとても明快な返答をくれた。しかし、翌朝、シャワーヘッドの知的能力が極端に減じたことは否めなかった。熱湯/冷水、通常のシャワー機能とマッサージ機能を識別する程度の知的水準にまで落ちてしまったのだ。
 
P132
ロール、素晴らしい仕事をなさってください。そして幸せになってください。少なくともそう努力をしてください。私たちの人生はほんのささいなことに左右されます。
 
P162
ハバニタ。間違いない。紫のハンドバックの持ち主は彼女だ。
 
P122
どうしてあなたは個人的にこのハンドバックの持ち主を探そうとしているのですか?
どうしてあなたは二日続けて、朝、公園で作家を待っていたのですか?
どうしてあなたは自分のポケットマネーでアフロディット・クリーニングの支払いをしたのですか?
どうしてあなたは彼女の友人があなたのことを恋人だと勘違いした時に事実を言わなかったのですか?ローランは誠実ではあるがまったく説得力の無い返答しか繰り返すしかなかった。わかません、と。
 
P150
君はあの人を見たんでしょ。ぜんぶ知っているんだよね。何とか言ってよ、ロールは懇願した。
 
P73
不仲の作家が隣り合わせにならないようにも気を付けていた。
 
さいごに:
皆さんの感想に、「ストーカー」「偏執的」「変態的行動」などなどあったのですが、
個人的にはあまり疑問に思わず、「まあ、そういうこともあるよね」的な感じですんなり受け入れたられたので、自分自身のボーダーラインはヤバいのでは?と不安になりました。。。(笑)
 
3331 Arts Chiyodaは、2023年3月31日をもって閉館するそうです。

レンタルスペースは2023年2月28日(火)で終了なので、こちらの施設での開催はこれが最後になります。今まで何回か読書会や哲学対話を開催していたため、本当に残念です。
 
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

くつろぎ読書

2015年3月発足。月1~2回程度、都内各所で読書会を開催しております。場所は、貸し会議室・喫茶店・絵本カフェ・BOOKカフェと様々です。 定期的に、本屋さんめぐり、街歩きと読書会を合わせた「おさんぽ読書会」をやってます。2019年から「哲学対話」を始めました。ご質問はこちらへお願いします【kuturogidokusyo@yahoo.co.jp】

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