6/29(土)に開催した、課題本&課題映画読書会の終了レポートです。
《課題本&課題映画》
課題本『ピグマリオン』
バーナード・ショー作
課題映画『マイ・フェア・レディ』
監督ジョージ・キューカー
主演オードリー・ヘプバーン
開催日:2024年6月29日(土)
時間:10:30~12:30
開催場所:新宿駅周辺のカフェ
人数:6名
先日、別の読書会に参加した際、映画『マイ・フェア・レディ』は有名だけど、原作の『ピグマリオン』はあまり知られていないという話になりました。個人的にはラストも含めて原作の方が好きなので、他の方はどのような感想を持つのか聞いてみたくて、課題本にしました。
以下会話抜粋↓
■映画と小説を比べて
・映画の役者さんの年齢が、原作の年齢設定より高かった。
イライザ=19歳
オードリー・ヘップバーン=35歳
ヒギンズ教授=40代前半
レックス・ハリソン=56歳
ピカリング大佐=?
ウィルフリート・ハイド・ホワイト=61歳
アルフレッド=?
スタンリー・ホロウェイ=74歳
フレディ=おそらく20代
ジェレミー・ブレッド=31歳
・オードリー・ヘプバーンのイライザが美しくて上品過ぎる。原作のイライザはもっと庶民的なのでは?
・ラストは断然小説の方が良いが、映画は映画で音楽含めて素晴らしい。
・バーナード・ショーは映画の描かれ方が気に入らず後日譚を書いたと思われるが、原作者の意図と異なるラストにしたのは、当時はこの方が受け入れらと思ったからだろう。あらためて作品は誰のものなのかと考えてしまう。
・おそらく映画を作ったのは男性だろう。
・映画は子供の頃に観た。その時はラストに何の疑問も持たなかったが、あらためて女性蔑視な部分があり、(原作を知ってしまったからか)ラストが納得できなかった。
・映画の中でイライザがバッキンガム宮殿で、女王様に声かけられた理由は顔だったので、言葉使いや発音ではなく、結局は生まれ持った容姿だった。
■イライザについて
・フレディに養ってもうらう気がないところが良い。男性に養っても貰うのが当たり前という考え方をしていない。進歩的な女性。
・結婚は生きていくための選択という時代だったと思うが、フレディと一緒に切磋琢磨して商売を始める選択をした。自分で稼ぐのが合っている。
・結局、ピカリング大佐にタカっている。とてもやり手。
・イライザは現代でも通じる進歩的な女性だが、当時この作品を見た人はどのような感想を持ったのか。
・そもそもヒギンズ教授とは階級が異なるため、結婚は無理なのでは
・P174のイライザの「わたしは何をすればいいの?」というセリフにモヤモヤした。
最初に花屋をやると言ったのだから花屋をやればいいのでは?中途半端に礼儀だけ身に着けたが、階級は伴っていないことに対する不安なのか?
・身に着けたもので花屋はできないのか?結局中身はそのまま成長していない。
・一度贅沢な暮らしを身に着けたから元の階級の生活戻れなくなった。元の階級の男性とは付き合えない(P230下層のつまらい男とじゃやっていけない)。だだ、礼儀だけ身に着けて放り出されそうになり、今後の身の振り方に不安を感じた。元の場所に置いといてくれれば良かったというセリフはここに繋がる。
・同時期に父親がヒギンズ教授のせいで中産階級になったが、その身分を捨てられないでいる。父娘が同時期に同じことが起きている。そして行動も同じ。
・まだ訛りがあるときのセリフ「ウエエエエ」が読みづらい
・映画の「スペインの雨」のシーンがとてもいい。イライザの世界が広がった瞬間。
■ヒギンズ教授ついて
・女性ヘイトの嫌な奴。
・映画の中の「なぜ女性は男性みたいにふるまえない」が女性ヘイトソングで驚いた。
・この当時で階級も高いのに独身なので変わり者だったのではないか?
・全体的に糞野郎だけど、イライザを同士として扱っている部分のみ好感。
・同士として見ているから、女性が泣いて感情的になるのが気に入らないのか。
・ある意味、ヒギンズも女性に対し進歩的なのでは?
・ただ単にはっきり言う女性がタイプなのでは?
・仕事へのプロ意識は凄い。P40の人類は魂と言葉を発する能力を神から授かった~というセリフが良い。
・P223の「僕は人をバカにしたことは一度もない」はベストオブどの口が言う。
・女性蔑視的な発言が目立つが、わかりやすい性格ではある。
・P227「あいつは君を、何者かにすることができるのか?」は、身分の低い女性を自分の所有物として扱っている。
・そもそもヒギンズは女性と付き合ったことがあるのか?
・ヒギンズはどんな女性を作りたかったのか?王様の相手ができる女性?自分の意思をもった女性?
・タイトルのピグマリオンからきている、ヒギンズにとっての理想の女性とはどんな女性だったのか?
・イライザにとって、結婚相手としては×だが、仕事のパートナーとしては〇
・イライザにはどのような感情を持っていたのか?
・フレディをバカにするのは嫉妬からきているのか?
■ピカリング大佐ついて
・お金持ちのいいおじさん。
・独身主義者なのか?若いときは結婚していたのか?ゲイなのか?
・理想が高いから、ヒギンズと一緒に理想の女性作り(=お人形遊びに興じたのか)
・あまり思ったことを言わない、ヒギンズと比べてわかりづらい。
・ヒギンズを操作して自分の言いたいことを言わせていたのでは。
・ヒギンズと一緒にお人形遊びをしていたところから、それなり変わった人。実は一番問題ありなのでは。
■ミセス・ヒギンズ(ヒギンズ教授の母)について
・いいお母さん。ありがちな嫌な上流階級の女性ではなかった。
バカ息子を可愛がるではなく、上手くあしらっている。
・キャラが立っている。裏の主役では。
・会話がウィット飛んでいる。
・こんなお母さんだからヒギンズは年上好きのマザコンになったのでは
・信頼できるお母さんだからイライザが逃げる先として選んだ。
→もっと他の所に逃げて欲しかった。これではすぐにヒギンズに見つかる→見つけて欲しかったのでは
■アルフレッド・ドゥーリトル(イライザの父親)について
・憎めない面白いお父さん
・娘が出世したからたかりにきたが、10ポンドを辞退して5ポンドを要求するところが
愛嬌がある。また「あっしのコレ」とパッーとすると言っているあたりが好感。
・中産階級になったくだりは、階級社会の皮肉。
・映画だと有名なミュージカル俳優が演じているから、小説よりも見せ場が多い。
■フレッドとその家族(母と妹クララ)
・フレディとくっつくのは幸せなのか?ただ近くにいた手ごろな相手だったからでは?
妥協してフレディにしたのでは。
・小説ではあまりパッとしないが、映画はジェレミー・ブレットが演じていて、かっこよかったから、イライザがくっつくのは無理ないかなと思えた。
・後日譚をなぜ本編に入れなかったのか?ほぼ6章なのでは。
・母と妹クララは映画では全然出てこない。後日譚でクララのその後が描かれいる、フレッドが商売を始めるきっかけとなったからか?
■さいごに
・参加者が全員女性だったせいか、ヒギンズ教授は女性ヘイトの糞野郎という意見が圧倒的でした。また、後日譚であるように、「彫像のガラテアがみずからの創造主であるピグマリオンを本当に好きになることは決してない~到底つきあえるものではない」はまさにその通り、との感想でした。
■余談1
育ててもらった年上の男性に、恋愛感情を持つか否か論争で出てきた小説と映画
・あしながおじさん(小説)
・源氏物語(小説)
・雪の断章(小説)
・世界一キライなあなたに(映画)
▪️余談2
ピグマリオンに関連してでてきた話
・ジャン=レオン・ジェロームの絵画ピグマリオンとガラテア
・ギリシャ神話ピュグマリオン
・ピグマリオン効果
→女性が男性を作りあげる作品がないのはなぜか?(探せばあるかもしれないが)
■好きなセリフ
P222
イライザ
「わたしは、わたしのことを気にもかけない人にことなんか、気にもかけたくありません。」
P210
イライザ
「私が初めてウィンポール・ストリートのお宅を訪ねた時に、あながたミス・ドゥーリトルと呼んで下さったことです。あれで私は、初めて自尊心というもの知りました。
P211
イライザ
「本当の意味でレディと花売り娘の違いは、どう振る舞うかではなく、どう扱われるかにあるのです。」
P203
ミセス・ヒギンズ
「ありがとうも言わずに、いたわりもせず、褒めもせず、彼女がどんなに素晴らしかったか、言いもしなかった。」
P235
ヒギンズ
「ピカリング!何言ってるんですか!あいつはフレディと結婚するんですよ。はっ!はっ!フレディですよ!フレディ!!はっ、はっ、はっ、はっ、はっ!!!!!
P228
イライザ
「わたしはただ、ちょっと、思いやりが欲しかっただけです。自分が身分のいやしい無知な女で、あなたが学問のある紳士だってことはちゃんとわかってます。けど、わたしはその足に踏みつけられている泥じゃない。」
以上です。
今回は参加者が全員女性だったので、似たような意見が多かったです。男性の意見も聞きたかったなと思いますが、作品的に難しいのでしょう。
あと、今回は小説と映画の読了&視聴が参加条件だったため、ハードルが高く、
参加したいけど映画を観るツールがないという方もいました。
次回、小説&映画の読書会を開催する場合は、もっと方法を考えたいと思います。
ご参加くださった皆様、ありがとうございました。
7月は既に告知済ですが、茶話会と読書会を開催します。
0コメント